日本史 第6話 国譲り【神代6】

日本史

この記事では、日本神話の重要なエピソード「国譲り」を通して

・国譲りとは何か
・なぜ支配が移ることになったのか
・国譲り神話の意義

を分かりやすく解説します。
日本神話における大きな転換点を見ていきましょう。

『天つ神』と『国つ神』

国譲り神話に入る前に、『天つ神』と『国つ神』について解説しておきましょう。
国譲り神話以降、このワードがとても重要になります。

天つ神

天つ神とは高天原に住む神々の事を指します。

これらの神はイザナギとイザナミから続く神々であり、葦原中国の統治権を持ちます。

また皇室のルーツもこの天つ神にあるとされています。

国つ神

国つ神は葦原中国で生まれた神の事です。
高天原から追放され、出雲に土着したスサノオの一族も国つ神に属します。

国譲り

国譲りの神話は、『天つ神』が『国つ神』から支配権を受け継ぐ物語であり、日本神話の中でも重要な転換点とされています。

使者の派遣

オオクニヌシが国作りを完成させたしばらく後、高天原ではアマテラス等の神々による合議で

葦原中国あしはらのなかつくにはずいぶん豊かになったが乱暴な神などもいてずいぶん騒がしく見える、そこで我々『天の神』が葦原中国を運営し世を治めよう」

という意見がまとまりました。

そこでアメノホヒという神が使者として葦原中国のオオクニヌシの下へ向かい交渉を始めます。

アメノホヒは出雲で滞在する事になりますが、あまりに良い国なのでオオクニヌシに心服してしまい高天原への報告を無視するようになりました。

高天原ではアメノホヒカミが寝返ってしまったので新たな使者を送る事にします。

そうしてアメワカビコが葦原中国へ交渉へ赴きます。その際『天の麻迦古弓あめのまかこゆみ』と『天の波波矢あめのはばや』という弓矢を授けられます。

しかしアメワカビコはオオクニヌシの娘を妻として定住してしまいついにはオオクニヌシの後は自分が継いで出雲を治めようという野心を抱き始めます。

この野心に気づいたアマテラスは真偽を確かめる為「鳴女なきめ」と呼ばれるキジをアメワカビコの元へ送ります。

ナキメはアメワカビコを問いただしますがアメワカビコは任務を受けた際授かった『天の波波矢あめのはばや』を使ってナキメを射抜いてしまいます。

二度説得に失敗した高天原では更なる合議の結果「タケミカヅチ」という強い神を使者として送り出す事に決定しました。

タケミカヅチ

タケミカヅチは出雲に降り立ちました。

その時雷鳴が鳴り響き彼は剣を海の上に突き刺しその上で胡坐をかいたと伝えられています。

タケミカヅチはオオクニヌシへ国を譲るように迫りますが、オオクニヌシは自分の息子の事代主神ことしろぬしのかみタケミナカタへ意見を聞くように求めます。

事代主神の娘の内3人は初代天皇神武天皇と2代天皇、3代天皇にそれぞれ皇后として嫁ぐ事になります。

そこで出雲の美保の崎で釣りを楽しんでいたコトシロノヌシに尋ねると彼は国譲りを快諾しますが、もう一人の息子であるタケミナカタは拒否し、『出雲をかけての決闘』を要求します。

タケミカヅチはその挑戦を受け、決闘の末タケミカヅチが圧勝し、敗れたタケミナカタはタケミカヅチへ心服し国を譲り渡すことを快諾しました。

2人の息子の同意を得たオオクニヌシは、出雲に巨大な宮殿を建てる事を条件に国譲り決めました。

この巨大な宮殿はスサノオとの約束でもあったのでしょう。
宮殿は現在出雲大社として語り継がれています。

この展開は、武力による征服ではなく、合意によって支配が移るという形を取ることで、統治の正当性をより強く示す意図があったとも考えられます。

こうして出雲は高天原へ引き渡され天の神による葦原中国の統治が始まります。

国譲り神話の意義

この国譲り神話は、世界の支配権が出雲系の『国つ神』から高天原系の『天つ神』へと移った話を神話としてまとめたモノです。

神話では日本の統治権は、列島を作り出したイザナギとイザナミの子孫である高天原の神々、『天つ神』にあります。

しかしこの時、オオクニヌシなどの『国つ神』が国を発展させ、葦原中国の実質的な運営権を手に入れていました。

この状態の中、運営権を正当な統治権を持つ『天つ神』へ戻したものがこの国譲り神話です。

この神話では『天つ神』の系統が日本を治めるべきだという事を示しています。

これは【古事記】が編纂された当時、既に国家の元首であった皇室の権威を高める為に編纂されたものだと考えられます。

6話まとめ

今回は国譲り神話をあつかいました。

ちなみに疑問に思った人もいると思うのですがオオクニヌシが作った国とは出雲とその一帯の国を指すのか葦原中国そのものを指すのかはよくわかっておらず意見が分かれています。

現実的に考えるなら出雲一帯の事なのでしょうが神話として考えるなら葦原中国全体の事を指しているのかもしれません。

さて、オオクニヌシが国譲りの際に条件として出した巨大な神殿ですが本文にも書いた通り現在は出雲大社として残っています。

この出雲大社は現在高さ24M程になりますが江戸時代の国学者である本居宣長によれば創建当時はおよそ96M程の高さであり、まさにスサノオが建てろといった巨大な神殿であると考えられてきました。

そして西暦2000年、下祭礼準備室の建設に伴う事前調査に際にかなり大きな「宇豆柱うずばしら」と呼ばれる柱が発掘され、これはそうとう大きな建物があった事の証明となり、オオクニヌシの巨大神殿が現実味を帯びて来ています。

こういった事からも記紀による神話のお話も、現実を基にしている可能性が高いことが見て取れます。

6話のポイント

✔タケミカヅチが使者として国譲りの交渉を担当した
✔交渉の結果、葦原中国は天の神の管理となった
✔出雲大社が創建された

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