日本史 第1話 日本のはじまり【神代1】

イザナミとイザナギ 日本史

この記事では、日本神話の「国生み」を通して
・日本列島がどのように説明されたのか
・古代の人々が世界をどう考えていたのか
を分かりやすく解説します。

また神代については基本的に『古事記』と『日本書紀』をベースにして進めていきます。

国生み

イザナギとイザナミ

遠い遠い昔。

まだ天と地が出来たばかりの頃、この世界に二人の神が生まれました。
一人はイザナギという男神、もう一人はイザナミという女神。

イザナミとイザナギ
イザナギ(左)とイザナミ(右)

この二人の神は天浮橋と呼ばれる天空に架けられた橋から大海原を見渡し
二人で巨大な矛を持ち海水をグルグルと掻き回します。
そして矛を引き上げた時、そこから滴り落ちる海水が集まり一つの島へと変貌します。

Kobayashi Izanami and Izanagi.jpg


Originally uploaded on sv:wiki 10 April 2005 kl.18.50 by Lamré – From sv.wikipedia.org., パブリック・ドメイン, リンクによる

これが世界で最初に生まれた島です。

イザナギとイザナミはその島へ降り立ち『天御柱』あまのみはしらと呼ばれる大きな柱と『八尋殿』やひろどのと呼ばれる大きな宮殿を建築し、そこで婚姻するのでした。

この島は「自ずおのずから固まった島」としてオノゴロ島と呼ばれていて、現代の兵庫県淡路島近くの絵島だとか、沼島だとかいう説もあったりします。

日本列島の形成

婚姻して夫婦となった二人がする事といえば子作りです。神といえどそこは人間と変わりません。
神の子なので当然生まれてくる子も神様なのですが、最初の方に生んだ神は何故か島となります。


まず最初に淡道之穂之狭別嶋あわじのほのさわけのしまを生み出します。
次に伊豫之二名島いよのふたなしま
次に隱伎之三子島おきのみつごのしま
次に筑紫島つくしのしま
次に伊岐島いきのしま
次に津島つしま
次に佐渡嶋さどのしま
最後に大倭豐秋津島おおやまととよあきつしま

と次々に島を生み出しこれらを合わせて大八洲国おおやしまのくにと言いました。

島の生まれた順番と名称が日本書紀と古事記で若干違います。
(今回は古事記での順番を基に作成)

大八洲国

お気づきの方もいらっしゃると思いますが、ここで生まれた島々、大八洲国は即ち日本列島を指します

こうなると
「現代ではどの島が何処の場所に当たるの?」
という当然の疑問が湧いて来ると思うので現在の島々に当てはめてみましょう。

まず初めに淡道之穂之狭別嶋あわじのほのさわけしま、これはアワジという名前からも想像できるように現在の淡路島に当たります。

次に伊豫之二名島いよのふたなしま、これは四国の事ですね。
古事記では『顔の四つある島』と表されておりその顔はそれぞれ現代では愛媛、香川、徳島、高知の4つの県となっています。

隠伎之三子島おきのみつごのしま、これは現在の隠岐諸島だと考えられています。

さらに筑紫島つくしのしま、これは九州ですね。

こちらも古事記では『顔の四つある島』と表されています。
今では九州は6つの都道府県になっていますが、古代では『筑紫国』『豊国』『肥国』『熊曽国』と4つの国となっていました。

次に伊伎島いきのしま、漢字は違いますが現在の壱岐島を指します。

次に津島つしま、これも漢字は違いますが現在の対馬の事です。

次に佐渡島さどのしま、これはそのまま現在の佐渡島となります、分かりやすいですね。

最後に大倭豊秋津島おおやまととよあきつしま、これが本州、一番大きな島ですね。(余談ですが現在世界中で最も経済力のある『島』はイギリスのグレートブリテン島を抜いて本州が1位に輝いています✨)

こんな感じでイザナギとイザナミの生み出した島は即ち日本列島となります。
つまりこの神話は、日本という国の始まりを説明する役割を持っていたと考えられます。

補足(地質学的な日本列島の形成)

以上は『古事記』と『日本書紀』による日本列島の誕生でした。
日本の歴史を学ぶ上ではイザナギとイザナミによる国生みが重要となりますが、これらは神話での物語となりますので、現代の地質学的視点からの日本列島の形成も確認しておきましょう。

約3,000万年程むかし、日本列島はユーラシア大陸と陸続きになっており人間や動物などが大陸と歩いて行き来していました。

ところが、地下のマグマの活動やプレートの動きが活発化し、地殻変動によって大陸と日本列島は切り離されます。

その後切り離された大陸と列島の間に海水が流れ込み日本海が出来上がります。

こうして海に囲まれた日本列島が形成されました。

黄泉の国

イザナミの死

大八洲国を作り上げた二人はどんどん子作りを進めます。
風の神や木の神など様々な神を作り上げ神作りは順調でしたが
火の神を生み出した時、その熱が原因となってイザナミは亡くなってしまいます。

火の神が産まれた時、付随して多くの神が産まれます。
これは日本人が火を扱う事を覚え、多くの技術を獲得した事を表していると考えられます。

イザナギはイザナミのご遺体の隣に伏して泣き叫び悲しみに暮れました。
そして落ち着いた後、イザナミの遺体を出雲国と伯耆国の境にあるとされる比婆山に埋葬します。
埋葬の途中、もう一度愛する妻に会いたいと思ったイザナギは妻を追いかけ黄泉の国へ向かう事を決意するのでした。

『黄泉の国』とは記紀において死後の世界を表すと考えられます。
神話では現世と黄泉の国は行き来が可能なモノとして描かれています。

比婆山 イザナミが葬られたとされている。 現在では登山先として人気

黄泉の国

黄泉比良坂 (島根県) 古事記の舞台として観光地となっている

黄泉の国へやって来たイザナギは、イザナミの魂がある神殿へ辿り着きます。
そして神殿の戸の前にイザナミが現れると
「もう一度僕の所へ戻ってきてくれないか?」と頼みます。

黄泉の国の掟では戻る事は許されませんが夫と共に帰りたいと思ったイザナミは黄泉の国の神と交渉する事を決意し、交渉の間は決して中を覗いてはいけないとイザナギと約束して神殿の奥へ消えていきました。

しかしいつまで経っても戻ってこないイザナミが気になったイザナギは約束を破って神殿の中に入ってしまいました。

その中で目にしたモノはまるで悪霊のように変わり果てたイザナミの姿でした。

この姿を見られては生きては返せないと彼女は黄泉の国の兵を差し向けてイザナギに襲い掛かります。

驚いたイザナギは急いで道を引き返し逃げ始めます。

十拳剣とつかのつるぎと呼ばれる剣を振るいながら現世に向けて駆け、ついに黄泉の国の出口である黄泉比良坂よもつひらさかにたどり着きますが兵士たちは追跡をやめません。
やけになったイザナギは付近に落ちていた桃を兵士に投げつけると黄泉の兵士たちはすぐさま退散したのでした。

桃は古代中国では邪悪を退ける神聖なる果実とされており、その思想が古代日本にも輸入されていたと考えられています。
また、3世紀ごろの都とされる纏向遺跡では、かなりの量の桃の種が発掘されている事からも桃に対する一種の信仰があった事が伺えます。

兵士を振り切るとイザナミ自身が追いかけて来ますが間一髪の所で大岩で出入り口を塞ぎ逃げ切りますが、大岩の向こうからイザナギの声がします。

「あなたの国の人間を1日に1000人殺してあげる」

「ならば僕は1日に1500人生み出そう」

こうして国を生み出した二人の夫婦の物語は幕を閉じます。

イザナギとイザナミについての詳しく知りたい人は↓

天照大神の誕生

黄泉の国から脱出したイザナギは穢れを落とす為、川で身を洗い流します。

左目を洗った時、天照大神あまてらすおおみかみ
右目を洗った時、月夜命つくよみ
鼻を洗った時、須佐之男命すさのお

がそれぞれ誕生します。この3神は三貴子と呼ばれる最も重要な神です。

この誕生にイザナギはとても喜んで
「アマテラス、君は高天原を治めなさい。ツクヨミは夜の世界を、スサノヲは海をそれぞれ治めるんだ」
と命令するのでした。

天照大神

1話のまとめ

日本史の第1話では国生みを扱いました。

イザナギとイザナミによって日本列島が形成され、さらに神々が生み出されることによって日本の基盤が成立しました。

現代の我々の感覚からすると、神話の物語の様に島が生まれたり神々が生まれる事は認められません。

しかし重要なのは日本の歴史が神話から一続きになっているという共通認識を古代の時代から持っているという事実です。

この事実は今後日本史を学ぶ上で最重要なものであり、これを知っておかなくては日本史を真に理解する事が出来ません。

なのでこのブログでは、神代を日本史の原点として扱っています。

1話のポイント

✔イザナギとイザナミという二人の夫婦神が生まれた。
✔二人は日本列島を生み出した(国生み)
✔二人は日本の様々な物事に宿る神々を生み出した(神生み)
✔イザナギは三貴子を生み出した。

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