天岩戸事件
スサノオ、浮かれる
高天原に滞在を許されたスサノオでしたが、荒れた海原での生活を送っていた彼にとって高天原の日々は天国の様だったのでしょう、元来子どもの様な性質を持つ彼は浮かれてハメを外しすぎてしまいます。
なんと悪戯にハマってしまい高天原で子供の様に悪戯を繰り返して遊び続け高天原の神々のを困らせる日々を送っていました。
高天原の神々はアマテラスにスサノオを何とかするように訴えかけます。
「アマテラス様!最近のスサノオ様の行動には目に余るものがあります!なんとかして頂けませんか…」
「うーん…彼に悪気はないのよ….ずっと酷い環境で暮らしていたから、すぐに飽きるだろうし大目に見てあげて?」
アマテラスは弟かばいますがスサノオの悪戯はどんどん酷くなるばかりでした。
「畑の溝を埋めるのは楽しいかったな…皆びっくりしてたし….それに神殿に脱糞した時の皆の顔は最高だった….こんな遊びやめられねぇや……」
「次はどんな悪戯しようかな…….そうだ!姉さんの仕事場に馬でも落としてみようか!」
アマテラスは高天原に機織り小屋を作り衣服の製造を営んでおりました。
その小屋の天井が突然崩落し大きな馬が投げ込まれたのです。
機織り中の女の娘がそれに驚き逃げ出そうとした時、不幸な事に梭(棒状の機織り道具)が下半身に突き刺さってしまい絶命してしまいます。
この事件にアマテラスは酷く心を痛め
「弟を受け入れたのも放置したのも全て私の責任です」
そう言って天岩戸と呼ばれる洞窟の中に入り巨大な岩で入り口を塞いで引き篭もってしまったのです。
天岩戸
アマテラスが洞窟に引き篭もった結果、高天原に日が昇ることが無くなってしまい暗闇が永遠と続きました。
その影響で様々な災いが生じ、高天原の神々たちは困り果て何とかアマテラスを天岩戸から引き釣りだそうと会議を始めます。
そこでオモイガネという神が一計を案じます。
オモイガネは天岩戸の前で宴会を開かせました。
芸能の神と言われるアメノウスメが踊りを披露する等神々は大いに盛り上がります。
するとアマテラスは「私が居なくて皆困っているはずなのに何でこんなに盛り上がっているの…?」と岩戸と少しだけ開けて問いかけます。
オモイガネが答えて
「アマテラス様より凄い神様が降臨してくださったのですよ、という事で皆でお祝いしている訳です」
「そんなに凄い神様が?」
「そうです、アマテラス様も是非お姿をご覧になって下さい」
(気になる…)
アマテラスは岩戸をあけて様子を伺います。
「神様はどこ?」
「こちらです」
そう言うとオモイガネは事前に作らせた八咫鏡を持ち出しアマテラスを鏡に映し出します。
「写っているのは…私?」
アマテラスが戸惑っていると
「アマテラス様!!御免!!!」
とアメノタヂカラオという怪力自慢の神がアマテラスの手を取って岩戸から引き釣り出します。
さらにしめ縄で天岩戸を封鎖してオモイガネの計画通りアマテラスを天岩戸から出す事に成功しました。
すると世界に光が戻り「アマテラス様がお戻りになった!!」と神々は歓喜し本当の宴が始ます。
アマテラスは二度とへこたれない事を誓い高天原に平和が戻ったのでした。
五穀の獲得
スサノオの追放
アマテラスが戻った高天原では会議が行われる事になりました。
議題はスサノオの処遇です。
会議の結果、スサノオは満場一致で高天原からの追放で決定です。
それもただの追放ではなく相当重い罰を課せられ財産の没収と爪と髭をはぐ禊を受けた後追放というものでした。
ただ一説では禊は身を清める行為であるので罰と共に改心を促す為のアマテラスのせめてもの温情ではなかったのかと言う説もあります…
食物の神オオゲツヒメ
禊を受け財産も失ったスサノオは葦原中国(地上世界)へ追放されます。
飢えに苦しんでいた彼は食物の神と言われるオオゲツヒメと出会うのでした。
スサノオはオオゲツヒメに食料を分けて貰えないか尋ねます。
「オオゲツヒメ様、申し訳ないんだけど何か食べ物を分けて貰えないかな?」
「いいでしょう、それでは私が腕によりをかけてご馳走をおつくり致しましょう」
そう言うと彼女はなんと食材を目や鼻、穴などの部分から取り出し調理を始めました。
それを見たスサノオはわざと食材を汚しよごれた料理を出してからかうつもりなのだと勘違いしてしまいオオゲツヒメを切り殺してしまうのでした。
するとオオゲツヒメの死体から
稲の種
粟
小豆
麦
大豆
が生まれます。
このエピソードは五穀の獲得の比喩だと言われています。
3話のまとめ
3話では天岩戸事件と五穀の獲得までを扱いました。
五穀の獲得について今回は古事記をベースにスサノオがオオゲツヒメを斬ったお話を紹介しましたがこれ実は日本書紀ではツクヨミが斬った事になっています。
というのもスサノオ高天原へ昇った時アマテラスは既に畑で稲作をしていたので素直に古事記を読むと矛盾が生じてしまうのです。
古事記より後に編纂された日本書紀ではその矛盾の解消のためスサノオが高天原へ昇る前にオオゲツヒメのエピソードを持ってきてしかも主役をスサノオからツクヨミへ変更しています。
こうする事で矛盾が解消され出番のなかったツクヨミに光が当たる神改編となっています。
また天岩戸ですが宮崎県高千穂町に天岩戸の舞台と伝えられている天岩戸神社がありますので興味のある方は是非ググってみてください。
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