日本史 第6話 【神代6】国譲り

国譲り

使者の派遣

オオクニヌシが国作りを完成させたしばらく後、高天原ではアマテラス等の神々による合議で

葦原中国あしはらのなかつくにはずいぶん豊かになったが乱暴な神などもいてずいぶん騒がしく見える、そこで我々『天の神』が葦原中国を運営し世を治めよう」

という意見がまとまりました。

アマテラスはオモイガネに尋ねます

葦原中国あしはらのなかつくに平定の為にオオクニヌシに国を私たちに譲るよう説得したいんだけど、どうすればいいかしら?」

「交渉の為の使者を派遣しましょう、それにはアメノホヒカミが適任です」

任務を帯びたアメノホヒはさっそく葦原中国のオオクニヌシの下へ向かい交渉を始めます

「オオクニヌシ様、貴方のお創りになられた出雲の国は葦原中国あしはらのなかつくに平定の為、我々『天の神』にお譲り頂けないでしょうか?」

「ほぉ天の神に、ですがこちらも即断という訳にはいきません、合議致しますのでそれまで我々の国にて過ごされてはいかがでしょう?」

アメノホヒは出雲で滞在する事になりますが、あまりに良い国なのでオオクニヌシに心服してしまい高天原への報告を無視するようになりました。

高天原ではアメノホヒカミが寝返ってしまったので新たな使者を送る事にします。

「次の使者はアメワカビコが適任でしょう」

そうしてアメワカビコが葦原中国へ交渉へ赴きます。その際『天の麻迦古弓』と『天の波波矢』という弓矢セットを授けられます。

しかしアメワカビコはオオクニヌシの娘を妻として定住してしまいついにはオオクニヌシの後は自分が継いで出雲を治めようという野心を抱き始めます。

この野心に気づいたアマテラスは真偽を確かめる為「鳴女なきめ」と呼ばれるキジをアメワカビコの元へ送ります。

ナキメは「アメワカビコ様の任務は葦原中国平定の為にオオクニヌシ様の説得だったはず、なのに何故何の報告もしないのです?」と問いただしますがアメワカビコは任務を受けた際授かった『天の弓矢』を使ってナキメを射抜いてしまいます。

二度説得に失敗した高天原では更なる合議の結果「タケミカヅチ」という強い神を使者として送り出す事に決定しました。

タケミカヅチ

タケミカヅチは出雲に降り立ちました。

その時雷鳴が鳴り響き彼は剣を海の上に突き刺しその上で胡坐をかいたと伝えられています。

「オオクニヌシよ、私はタケミカヅチと申す。高天原の天の神の長アマテラス様の命により出雲を貰い受けに来たがそなたはどう思うか」

「タケミカヅチ様、私の一存ではお答えできません。私の二人の子、コトシロノヌシとタケミナカタならば答えを出してくれるでしょう」

そこで出雲の美保の崎で釣りを楽しんでいたコトシロノヌシに尋ねると

「なるほど、天の神様が治めてくれるならば名誉なことじゃありませんか、是非お譲りになるのがよいでしょう」と言いすんなりと国譲りを認めましたがもう一人の息子であるタケミナカタは

「ふざけんな、ここは俺たちの国だぜ?欲しいなら俺と決闘しやがれ」

と出雲をかけた決闘を申し出たのでタケミカヅチは「面白いじゃないか」とその決闘を受けました

決闘すえタケミカヅチが圧勝し敗れたタケミナカタはタケミカヅチへ心服し国を譲り渡すことを快諾しました。

「オオクニヌシ殿、そなたの息子二方は国譲りに前向きの様だ、もう一度聞こう、そなたはどう思う?」

「わかりました、天の神々へ出雲はお譲りしましょう…….ただし一つ条件が」

オオクニヌシは出雲に巨大な宮殿を建てる事を条件に国譲り決めました。この巨大な宮殿はスサノオとの約束でもあったのでしょう。
この宮殿は現在出雲大社として語り継がれています。

こうして出雲は高天原へ引き渡され天の神による葦原中国の統治が始まります。

6話まとめ

今回は国譲り神話をあつかいました。

ちなみに疑問に思った人もいると思うのですがオオクニヌシが作った国とは出雲とその一帯の国を指すのか葦原中国そのものを指すのかはよくわかっておらず意見が分かれています。

現実的に考えるなら出雲一帯の事なのでしょうが神話として考えるなら葦原中国全体の事を指しているのかもしれませんね。

さて、オオクニヌシが国譲りの際に条件として出した巨大な神殿ですが本文にも書いた通り現在は出雲大社として残っています。

この出雲大社は現在高さ24M程になりますが江戸時代の国学者である本居宣長によれば創建当時はおよそ96M程の高さであり、まさにスサノオが建てろといった巨大な神殿であると考えられてきました。

そして西暦2000年、下祭礼準備室の建設に伴う事前調査に際にかなり大きな「宇豆柱うずばしら」と呼ばれる柱が発掘され、これはそうとう大きな建物があった事の証明となり、オオクニヌシの巨大神殿が現実味を帯びて来ています。

こういった事からも記紀による神話のお話も、現実を基にしている可能性が高いことが見て取れますね。

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