日本史 第4話 【神代4】ヤマタノオロチ

日本史

ヤマタノオロチ

『日本略史 素戔嗚尊』に描かれたヤマタノオロチ(月岡芳年・画)

ヤマタノオロチ退治

オオゲツヒメの一件の後、スサノオは出雲へと赴きます。

出雲では『ヤマタノオロチ』という化け物が暴れており、毎年若い娘を生贄に差し出すことでその厄災を逃れるという悲劇が続いていました。

話を聞いたスサノオはヤマタノオロチの退治を申し出ます。

出雲の人々は感謝し、退治に成功すれば生贄に差し出す予定だった娘- クシダナヒメ-をスサノオの妻として差し出すことを約束してスサノオに出雲の命運を託すのでした。

スサノオにはヤマタノオロチを打ち倒す秘策がありました。

彼は大量の酒を用意し、それをヤマタノオロチが出現する場所に備えオロチが現れるのを待ちます。

そしてヤマタノオロチが現れると目論見通りオロチは酒を飲み干し泥酔してしまいます。

スサノオはその機を逃さず勇み出て十塚剣でオロチを斬りつけ息の根を止めてしまうのでした。

ヤマタノオロチとの戦いに勝利したスサノオでしたが、剣が欠けてしまっているのを不思議に思いオロチを調べてみると、斬り裂いたオロチの体内から三種の神器の一つである草薙剣くさなぎのつるぎを見つけ出します。

この剣は先の一件のお詫びとして高天原のアマテラスへと送られます。

草薙剣はスサノオから高天原へ送られアマテラスの管理となりました。

この時高天原に全ての三種の神器が揃いました。
これは今でも現存し、代々天皇家へと受け継がれています。

ヤマタノオロチ伝説のルーツ

ヤマタノオロチの生贄となる予定だった娘はクシナダヒメと言う名で、その父はアシナヅチ、母はテヅナヅチと言います。
クシナダという名前は稲田から来ていると考えられ、両親は手足を連想する名がある事からこれらは稲作を擬人化したものと考えられます。

また一説には、ヤマタノオロチは川の氾濫の比喩だと言われており、川の氾濫で周囲の田園を荒らし人々を困らせていた事が基になった伝説だと伝えられています。
川は本流からいくつのも支流に分かれている事から八つの首を連想できますし、
実際出雲にある斐伊川は古代から何度も氾濫していると伝わっています。

つまり、このヤマタノオロチ伝説は川の氾濫による水害で毎年稲田が荒らされ不作に終わる状況を農作の知識を持った英雄スサノオが、何らかの工事を施し水害から稲田を守った事を表しているのではないでしょうか?

さらに草薙剣を獲得するエピソードですが、この川の氾濫のモデルが出雲の斐伊川だとするならば、この川の上流の山陰地方は砂鉄の産地であるので、鉄資源を獲得し、鉄剣の生産が可能になった事の比喩とも考えられます。

出雲の国

ヤマタノオロチを退治したスサノオは約束通りクシナダヒメを嫁に貰い共に出雲の須賀という場所へ赴きます。

二人はこの場所をとても気に入りここに宮殿を建てて暮らす事に決めました。

この時スサノオが詠んだとされる歌が残されています。

この歌は日本最古の和歌だとも言われています。

スサノオは、この地に国を建国し、それが出雲国の基となったと伝えられており、今でも彼は出雲の祖先だと崇められています。

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