ヤマタノオロチ

ヤマタノオロチ退治
オオゲツヒメの一件の後、スサノオは出雲へと赴きます。
そこで川に箸が流れてくるのを見かけたスサノオは(箸が流れてくるという事は上流に誰か住んでいるな)と考え川を昇っていく事にしました。
すると予想通り住人を発見しますが様子がおかしい、老夫婦と一人の若い娘が何やら嘆いて泣いていたのです。
「ここで何があったの?」
「ああ、私たち夫婦にはもともと八人の娘が居たのですがヤマタノオロチと言う怪物が毎年この時期にやって来て一人ずつ娘を食べてしますのです、それで今年もそろそろ奴がやって来て最後に残った娘のクシナダヒメを食べてしまうと嘆いて居たのです。」
「ヤマタノオロチ?」
「はい、首と尾が八つに分かれている巨大な化け物です」
「そっか…その怪物、僕が退治してあげてもいいよ」
「本当ですか?」
「ええ!その代わり…娘のクシナダヒメさんを僕にくれませんか?」
老夫婦とクシナダヒメはこの提案を受け入れスサノオのヤマタノオロチ退治が始まりました。
「よし、じゃあ早速準備に取り掛かろう。お父さん、強い酒はありますか?」
「酒ですか?」
「そうです、強い酒を八つの器に盛って怪物のやってくる場所に配置しておいてください」
その後ついにヤマタノオロチが姿を現します。
ヤマタノオロチは酒が置いてあるのを見るや否や八つの首をそれぞれ八つの器に入れてゴクゴクと酒を飲み干してしまいました。
すると酔っぱらってしまったのかヤマタノオロチは深い眠りに落ちていきます。
「首が八つだからな…酔いの回りも八倍だろう。」
そういいながらスサノオは十拳の剣を抜いて眠ったヤマタノオロチを斬り刻み見事に退治したのでした。
その際ヤマタノオロチの尾から剣が現れます。
それは現代三種の神器の一つと言われている草薙の剣でした。
(これは良い剣だ…この前迷惑かけたしこれは姉さんへ送ろう)
こうして草薙の剣はスサノオから高天原へ送られアマテラスの管理となったのです。
出雲の国
ヤマタノオロチを退治したスサノオは約束通りクシナダヒメを嫁に貰い共に出雲の須賀という場所へ赴きます。
二人はこの場所をとても気に入りここに宮殿を建てて暮らす事に決めました。
宮殿が完成すると雲が沸き上がり見事な景観を生み出します。
(僕の心は今とてもすがすがしい)
スサノオは歌を詠みます。
八雲立つ 出雲八重垣 妻ごみに 八重垣つくる その八重垣を
※訳 雲が幾重にも湧く出雲の地で、そこに八重垣を作って妻を住まわせる。妻のために垣根を幾重にも造ろう。
この歌は日本最古の和歌だとも言われています。
to be continued…
4話まとめ
さて4話はヤマタノオロチ退治のお話でした。
このヤマタノオロチですが一説には川の氾濫の比喩だと言われています。川の氾濫で周囲の田園を荒らし人々を困らせていた事が基になっていると。
川は本流からいくつのも支流に分かれている事から八つの首を連想できますし、
実際出雲にある斐伊川は古代から何度も氾濫していると伝わっています。
この斐伊川上流の山陰地方は砂鉄の産地でありそこから鉄を取りだす事からヤマタノオロチの尾から剣が出てきた伝説とも繋がりますしね。
次回からはスサノオの子孫であるオオクニヌシのお話となります。
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