さていよいよ日本史の解説を始めていきましょう。
当サイトの解説の進め方については第0話を参照ください。
また神代については基本的に古事記をベースにして進めていきます。
記念すべき第1話はまず国生みの物語から!
国生み
イザナギとイザナミ

遠い遠い昔。
まだ天と地が出来たばかりの頃、この世界に二人の神が生まれました。
一人はイザナギという男神、もう一人はイザナミという女神。
この二人の神は天浮橋と呼ばれる天空に架けられた橋から大海原を見渡し
二人で巨大な矛を持ち海水をグルグルと掻き回します。
そして矛を引き上げた時、そこから滴り落ちる海水が集まって何と一つの島へと変貌します。
イザナギとイザナミはその島へ降り立ち『天御柱』と呼ばれる大きな柱と『八尋殿』と呼ばれる大きな宮殿を建築し、そこで婚姻するのでした。
(※因みにこの島は「自ずから固まった島」としてオノゴロ島と呼ばれていて、現代の兵庫県淡路島近くの絵島だとか、沼島だとかいう説もあったりします。)
日本列島の形成
婚姻して夫婦となった二人がする事といえば子作りです。神といえどそこは人間と変わらない。
神の子なので当然生まれてくる子も神様なのですが、最初の方に生んだ神は何故か島となります。
まず最初に淡道之穂之狭別嶋を生み出します。
次に伊豫之二名島
次に隱伎之三子島
次に筑紫島
次に伊岐島
次に津島
次に佐渡嶋
最後に大倭豐秋津島
と次々に島を生み出しこれらを合わせて大八洲国と言いました。
※島の生まれた順番と名称が日本書紀と古事記で若干違います。
今回は古事記での順番を基に作成。
大八洲国
お気づきの方もいらっしゃると思いますが、ここで生まれた島々、大八洲国は即ち日本列島を指します。
こうなると
「現代ではどの島が何処の場所に当たるの?」
という当然の疑問が湧いて来ると思うので現在の島々に当てはめてみましょう。
まず初めに淡道之穂之狭別嶋、これはアワジという名前からも想像できるように現在の淡路島に当たります。
次に伊豫之二名島、これは四国の事ですね。
古事記では『顔の四つある島』と表されておりその顔はそれぞれ現代では愛媛、香川、徳島、高知の4つの県となっています。
隠伎之三子島、これは現在の隠岐諸島だと考えられています。
さらに筑紫島、これは九州ですね。
こちらも古事記では『顔の四つある島』と表されています。
今では九州は6つの都道府県になっていますが、古代では『筑紫国』『豊国』『肥国』『熊曽国』と4つの国となっていました。
次に伊伎島、漢字は違いますが現在の壱岐島を指します。
次に津島、これも漢字は違いますが現在の対馬の事です。
次に佐渡島、これはそのまま現在の佐渡島となります、分かりやすいですね。
最後に大倭豊秋津島、これが本州、一番大きな島ですね。(余談ですが現在世界中で最も経済力のある『島』はイギリスのグレートブリテン島を抜いて本州が1位に輝いています✨)
こんな感じでイザナギとイザナミの生み出した島は即ち日本列島となります。
つまり古事記の一番最初のお話は日本列島創造のお話なんですね。
黄泉の国
イザナミの死
大八洲国を作り上げた二人はどんどん子作りを進めます。
風の神や木の神など様々な神を作り上げ神作りは順調だったのですがしかし!
火の神を生み出した時、その熱が原因となってイザナミは亡くなってしまうのです。
イザナギはイザナミのご遺体の隣に伏して泣き叫び悲しみに暮れます。
そして落ち着いた後、イザナミの遺体を出雲国と伯耆国の境にあるとされる比婆山に埋葬します。
埋葬の途中、もう一度愛する妻に会いたいと思ったイザナギは妻を追いかけ黄泉の国へ向かう事を決意するのでした。

黄泉の国
黄泉の国へやって来たイザナギは、イザナミの魂がある神殿へ辿り着きます。
そして神殿の戸の前にイザナミが現れるとイザナギが言います
「僕と君の国生みはまだ終わってないよ、だからお願い、もう一度僕の所へ戻ってきてくれないか?」
イザナミが答えて
「ありがとう、でももう遅いの、私はこの国のモノを口にしてしまったからもうそちらへは戻れない」
悲しむイザナギを見て続けます
「でも、貴方がわざわざここまで来てくれたんだから…。一度黄泉の国の神様に相談してみます、戻れないかって。」
「その代わり、、、その間絶対に中に入って私の姿を見てはダメ。いい?」
そう言うとイザナミは神殿の奥へ消えていきます。
「中に入ってはダメ」イザナギはその言葉を思い出しつつも待ちきれなくなり、ついに約束を破って中に入ってしまいます。。。。。
その中で目にしたモノはまるで悪霊のように変わり果てたイザナミの姿でした。
「見てしまったのね…もう生かしては返せないわ」
そういって黄泉の国の兵をけしかけて来るイザナミ。
驚いたイザナギは急いで道を引き返し逃げ始めます。
十拳剣と呼ばれる剣を振るいながら現世に向けて駆けついに黄泉の国の出口である黄泉比良坂にたどり着きますが兵士たちは追跡をやめません。
やけになったイザナギは付近に落ちていた桃を兵士に投げつけると黄泉の兵士たちはすぐさま退散したのでした。
ホッと息をついた瞬間、なんとイザナミ自身が追ってきます。
しかし襲ってくる様子はなくこう言うのでした。
「あなたが必死に作る国、その国の人間を一日に千人殺すわ、それが私の復讐」
イザナギは恐れず答える
「なら僕は一日に千五百人を産んでみせる」
こうして二人の夫婦のお話は幕を閉じます。
このエピソードは人口が増えていく当時の日本を表した神話なのかもしれませんね。

天照大神あまてらすおおみかみの誕生
黄泉の国から脱出したイザナギは穢れを落とす為、川で身を洗い流します。
そして
左目を洗った時、天照大神が
右目を洗った時、月夜命が
鼻を洗った時、須佐之男命
がそれぞれ誕生します。
この三神はイザナギが最後に生み出した神でとても強い力を持っていたのでした。
この誕生にイザナギはとても喜んで
「アマテラス、君は高天原を治めなさい。ツクヨミは夜の世界を、スサノヲは海をそれぞれ治めるんだ」
と命令するのでした。
to be continued….
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